一向に終息の兆しが見えないコロナウイルス感染症ですが、このような状況下の中で自社は何とか経営出来ていても、取引先が倒産したり、売掛の支払いが止まるといった状況に直面している事業者様もいらっしゃるかと思います。
何度か催促しても入金がない、連絡すら取れなくなった等。
このような状況ではこれまで何とか持ちこたえてきた自社も経営危機になりかねません。
そこで今回は売掛債権を回収できないまでも損失として確定し、損金経理にする貸倒損失についてお話していこうと思います。
おそらく、多くの会社様は貸倒損失という言葉は知っていても実際に会計処理で扱ったという方は少ないかと思います。
この理由として、この貸倒損失の判定というのが極めて事実に基づく認定となるため、本当にもう回収が出来ないのかという判断がとても難しく、なかなか実務ではお目にかかることがないというのが理由となります。
では、どのような場合に貸倒損失として認められるのでしょうか。
法人基本通達において大きく以下のような場合に貸倒として認められるとされています。
①金銭債権が切り捨てられた場合
②金銭債権の全額が回収不能となった場合
③一定期間取引停止後弁済がない場合等
参考:国税庁 【貸倒損失として処理できる場合】
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5320.htm
①金銭債権が切り捨てられた場合
- (1) 会社更生法、金融機関等の更生手続の特例等に関する法律、会社法、民事再生法の規定により切り捨てられた金額
- (2) 法令の規定による整理手続によらない債権者集会の協議決定及び行政機関や金融機関などのあっせんによる協議で、合理的な基準によって切り捨てられた金額
- (3) 債務者の債務超過の状態が相当期間継続し、その金銭債権の弁済を受けることができない場合に、その債務者に対して、書面で明らかにした債務免除額
こちらはある事実の発生により、債権の全部または一部が法律的に消滅した場合に貸倒れが成立するという内容です。
②金銭債権の全額が回収不能となった場合
債務者の資産状況、支払能力等からその全額が回収できないことが明らかになった場合は、その明らかになった事業年度において貸倒れとして損金経理することができます。ただし担保物があるときは、その担保物を処分した後でなければ損金経理はできません。
なお、保証債務は現実に履行した後でなければ貸倒れの対象とすることはできません。
こちらは分かりやすい内容となっていますが、資産状況や支払能力から貸倒れを判断する基準となっています。
③一定期間取引停止後弁済がない場合等
- (1) 継続的な取引を行っていた債務者の資産状況、支払能力等が悪化したため、その債務者との取引を停止した場合において、その取引停止の時と最後の弁済の時などのうち最も遅い時から1年以上経過したとき
(ただし、その売掛債権について担保物のある場合は除きます。)
なお、不動産取引のように、たまたま取引を行った債務者に対する売掛債権については、この取扱いの適用はありません。 - (2) 同一地域の債務者に対する売掛債権の総額が取立費用より少なく、支払を督促しても弁済がない場合
こちらは取引を停止したのち、一定期間返済がない場合に貸倒れの判断をする基準となります。
今回はどういった場合に貸倒損失として認められるのかというところ見ていきました。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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